心霊学研究所
『シルバー・バーチの霊訓(5)』を読む

八章 病気は自分で治せる


 

 引用文中の“/”は(中略)です。かなり大胆に省略している部分もありますので、なるべく本を買って読んでくださいね。

 8章では心霊治療について語られます。
 シルバーバーチは、病気は自分で治せると断言しています。肉体の主人である魂が、肉体などという下等なものに束縛されることを拒否することができれば、誰にでも自分の病気を治せるというのです。

「/誰にでも出来ることです。ですが、大部分の人間は頭から出来ないものと思い込んでいます。だから出来ないのです。
 肉体は精神の従僕です。 精神は肉体に隷属(レイゾク)しているのではありません。肉体は束の間の存在であり精神は永遠の存在です。肉体はいずれ朽ち果てます。精神が宿っている間だけ現在の形体を維持している一時的な存在です。それがその人ではありません。その人の表現体であり、道具であり、地上で認識してもらうための手段です。その肉体が精神によって歩きまわることを教わり/内臓のすべての機能を働かせることを教わったごとくに、こんどはその(リズムを狂わせている)機能に本来のリズムを取り戻させることによって病気や疾患や異常を無くしてしまうことができるはずなのです」(P.122-123)

 しかし実際には、なかなかそこまで肉体のコントロールなどできるものではありません。「自分とは神の分霊であり、本来は完全なる霊なのだ。」という“悟り”が必要になるからです。頭では分かっても、肉体をコントロールできるほどの“悟り”に至るのは、なかなか難しいのではないでしょうか。
 でも、ある程度のコントロールは誰にでもできるはずです。日常生活の中で、このことを心がけておくと良いでしょう。

 しかし、しかし……。「そんなこと、出来るはず無いじゃん。」というあなた! あなたのような人がいるから心霊治療が必要になるのです(^^)。
 何故心霊治療が必要なのか。シルバーバーチは言います。

「神の摂理を知らない人が多すぎるからです。みんなそんな摂理なんかあるわけがないと思い込み、健康を回復する法則を実践できる段階まで意識を高めることができないと決めてかかっているからです。神の摂理に従って生きれば病気も異常も生じません。肉体に異常が生じるのは摂理に反した生き方をしているからです。(霊と精神と肉体の)調和が乱れると病気になり、自分自身の努力、または霊界からの治癒エネルギーによって調和を取り戻すまでその状態が続きます」(P.125)

 知るも知らぬも、信じるも信じないも、各人の自由です。……そうです。病気になったりならなかったり、治ったり治らなかったりするのも、実はその裏には本人の自由意思が関わっているのです。

「あなた方も神性を宿しておられるのです。ほんの小さな火花にすぎませんが、人間の一人ひとりに宿されているのです。その火花を煽(アオ)いで大きな炎とするか、それとも手入れを怠って消えてしまいそうにするか、それは各自の自由意志によってみずからが決めていくことです。誰も代って決めることはできないからです。各自が自分の運命の裁決者なのです。自分の未来を自分で形成していくのです。神性を発揮するか否かはあなた方自身が選択することです。代って選択してあげようにも出来ないのです。向上進化は自分が自覚しないかぎり、側(ハタ)から促進してあげることはできません」(P.126)

 

 シルバーバーチによれば、治療を妨げる最大の障害物は「不安」と「取り越し苦労」であるといいます。しかし、私たちも人間である以上、心配してしまうのも仕方がない部分もあるのではないでしょうか?

「いいとかいけないとかの問題ではありません。その念が連絡の通路を塞いでしまうのです。治癒エネルギーの流れを妨げ、近づけなくしてしまうのです。心配の念を抱くとそれが大気に響いて、その人のまわりにわれわれの進入を妨げる雰囲気をこしらえてしまいます。冷静で受容的雰囲気でいてくれれば容易に接近できます。碓信を抱いている時、完全な信頼心を抱いてくれている時は接触が容易です。信念が完全に近づけば近づくほど、自信が深まれば深まるほど、それだけわれわれとの接触が緊密になります」(P.128)

 こうした、治療を受ける際の注意というのは、霊媒が心がけるべき事と似ていますね。霊媒が心霊現象を起こすときと同じように、治療を受ける人も霊界からのエネルギーの受け入れ体制をととのえる必要があるのでしょう。ですから同じ病気でも、治る場合と治らない場合が出てくるわけです。
 もちろんその違いは、単純に霊格の違いと言うことではありません。その人がなぜその病気になったのか? その原因は解消されているのか? 治るべき時が来ているのか?……また、治療家と患者の相性など、さまざまな要因が絡み合ってくるのです。そこには完全な法則の働きがあり、偶然や不公平はありません。

「そもそも心霊治療家のところへ足を運ぶということ自体、偶然のことと思われますか。偶然ではありません。偶然というものはあなたの世界にも私の世界にも存在しないのです。断言します----神の摂理は完壁です。いずれあなたもその働きを理解し、その完壁な摂理をこしらえた完全なる愛の存在を知って、私と同じように、まるで鉄鎚を食らわされたような思いをなさる日が来るでしょう。
 私たちはすべて----私も同じなのです----暗闇の中で手探りで進みながら時おり光明の閃(ヒラメ)きを見つけ、 摂理への洞察力を手にします。そこで感嘆します。しかし暗闇の中にいるかぎり摂理の全貌が見えませんから、私たちはそれをとかく偶然のせいにし、運よくそうなったのだと考えます。しかし、断言しますが、偶然というものは存在しません。
 そう言うと皆さんはきっと〃では自由意志の問題はどうなるのか〃と聞かれるでしょう。確かに人間には自由意志が与えられております。が、その自由意志の範囲は魂の進化の程度によって規制されると申し上げたはずです。/宇宙の法則、すべてを経綸している法則の中における自由だということです。/何ものも神の摂理から逃れることはできません。完壁なのです」(P.136-137)

 

 ただ、何でも心霊治療家に頼れば良いかというと、そんなことはありません。病気にもいろいろな原因があり、物理的な治療法の方が効果的な場合があるからです。

 病気を引き起こす霊的な原因について問われて、シルバーバーチは……

「利己主義、強欲、金銭欲。イエスが、治療した患者に〃汝の罪は赦されたり〃と述べた話はご存知でしょう。病気の原因には物的なものと霊的なものの二種類があることを知らねばなりません。どちらの場合でも同じ方法で治すことも不可能ではありませんが、物的な治療法の方が効果が大きい病気があります。」(P.133)

「人間には物的身体と霊的身体とがあり、両者は生命の紐、言うなれば命綱で結ばれております。病気、異常、あるいは年齢といったものが物的身体に忍び寄るにつれて両者の相互関係が次第に緊密度を失ってまいります。そうした中で物的世界からの離脱の準備が進行しているわけです。病気には物的、精神的、霊的の三つの原因があります。骨折も霊的に治すことができないことはありませんが、物理的な手当ての方が簡単でしょう」(P.134)

 

 以下に引用するのは、英国の議会で心霊治療を医事法違反として規制する法案が提出されたときのシルバーバーチの言葉です。
 心霊治療の意義と、その背後で働く力について語られています。これをもって8章の締めくくりにしたいと思います。

「 神の業(ワザ)であるからには心霊治療はそうしたものを乗り越えて存在しますし、また存続させねばなりません。私たちが啓示している自然法則は人間の精神によって成立するものではありませんし、その普及が妨げられるものでもありません。私どもは誤ることを避けがたい人間がこしらえた法律にはまったく関心がありません。/
 かつて地上世界の改革に努力した人々、理想に燃えて同胞のために献身した人々は、人類の最先端を歩んでいたために、進化の階梯において一歩先んじていたために、侮(アナド)りと蔑(サゲス)みと嘲(アザケ)りに耐え忍ばねばなりませんでした。そして使命を終えてこちらへ来ると、後世の人間は彼らのことを人類の模範として崇拝し、そうしながら一方では同時代の超能力者をはりつけにして葬りました。真理というものは確立されるまでには数々の闘いに打ち勝たねばならないものなのです。
 恐れてはなりません。われわれのすべてに存在を与えてくれている力、地上のために私たちを地上へ派遺してくださっている力/は、宇宙の全生命を創造した力と同じものなのです。それはあなた方の方から見捨てないかぎりあなた方を見捨てることはありません。
 /
 その霊力を顕現させる道具が存在するかぎり、人のために役立ちたいと願う男性あるいは女性がいてくださるかぎり、私たちは病気に苦しむ人を癒し、生命が墓地の向こうにも存在することを証明し、永遠の霊的実在の証(アカシ)を提供し続けます。 そうすることが物質万能主義を永遠に駆逐(クチク)し、 霊の働きかけの実在を曖昧なものにしてきた教条主義の暗闇を排除し、奉仕を基調とする真の宗教を確立することになるからです」(P.129-131)

(初出1/16/96 Nifty-Serve FARION mes(16) )


7章(その2)に戻る目次9章「神は愛の中にも憎しみの中にも」に進む

心霊学研究所トップページ