心霊学研究所
スピリチュアリズムQ&A

スピリチュアリズムQ&A(2)


スピリチュアリズムの切っ掛けになったという『ハイズビル事件』とはいったい何なのでしょう? どういう事件なんですか?


1848年にニューヨーク州のハイズビルという村で起こったポルターガイスト事件です。

 ハイズビルというのは実は正しくないらしくて、1990年頃に近藤千雄氏が現地に行ったところ、現地の人達は「ハイデズビル」と言っていたそうです。しかしここでは慣例に従って「ハイズビル」と表記することにします。

 当時、そのハイズビルの一軒の家に、フォックス家という家族が引っ越してきました。それ以来、フォックス家の人達は、戸などを叩くような原因不明の音に悩まされ続けました。どこから鳴っているのか分からない叩音(ラップ音)が、頻繁に鳴っているのです。

 それから数カ月後。後にスピリチュアリズム勃興の日として記念されることになる1848年3月31日の事です。次女のマーガレット(12歳)と三女のケイト(9歳…年齢・名前などは諸説あり、15歳と12歳とも言われています。またケイトは愛称で本名はキャサリンと書いてある本も)の2人が、面白半分にそのラップ音に向かって話しかけました。質問に対してYesなら1回、Noなら2回、音を鳴らすように求めると、正確に答えが返ってきたのです。例えば、家族の人数や年齢(その時は念頭になかった死亡した子まで当てられた)を当てたのです。これこそ、霊界との通信方法が確立した瞬間でした。

 その話は村中の噂になり、多いときは 300人もの見物人が訪れたと言われます。あるとき、見物人の一人が発案した、アルファベットを順番に口にして叩音が指示した文字を綴る方法で、通信を得ることに成功しました。

 その結果、大変なことが判明しました。そのラップ音の正体は、その家で5年前に殺されたチャールズ・ロスマーという行商人で、地下室に埋められているというのです。驚いたフォックス一家が、2日後に近所の人や警察と共に地下室を掘ってみると、確かに人間の物と思われる歯・骨・頭髪などが出てきました。また、村の人に聞いてみると、数年前に「また明日参ります」と言って去ったきり一度も来なかった行商人がいたということも分かりました。

 

 このニュースがアメリカ全土からヨーロッパにまで広がり、スピリチュアリズムが始まる元となったのはQ&Aの1でも書いたとおりです。ラップ音がケイトとマーガレットがいるときに限って鳴ることが分かったため、そうした霊との媒介者=霊媒の存在が知られるようになってきたわけです。

 ですから、この「ハイズビル事件」そのものが重大な事件だったのではなく、スピリチュアリズムが起こる切っ掛けとなった事にこそ、重要な意味があったわけです。“スピリチュアリズムの聖パウロ”と呼ばれたアーサー・コナン・ドイル卿(シャーロック・ホームズの作者と言った方が通りが良いと思いますが)は、こういうことを言っています。

「見えない世界からの働きは、いまや拡大され且つ転向した。もはや殺された一人の男の訴えの段階ではなくなったのだ。あの行商人は先駆として使われたのであったらしい。彼が突破口と方法を見出すと、無数の知的存在が、その背後に群がってきたのだ」(近藤千雄訳 引用元不明につき、分かり次第追加します)

 

 なお、ケイトとマーガレットの死後十数年後の1904年に、ハイズビルの家の地下室の崩れた壁の中から、行商人のものと思われる人骨とトランクが発見されています。(それが本物かどうかは不明です。インチキだったという説もあります)

初出:Nifty-Serve FARION『心霊学研究所』(7/10/98)


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