心霊学研究所
『シルバー・バーチの霊訓(5)』を読む

三章 死後の後悔


 

 三章は、人間が生きている間の行動や思想が、死後にどんな結果をもたらすのかという内容です。では、一緒に読んでいきましょう。

 

「私はこれまで何度か地上で教会の中心的指導者として仰がれた人たちに付き添って、かつての信仰の場、大聖堂や教会を訪ねてみたことがあります。彼らはこちらへ来て誤りであることを知った教義がそこで今なお仰々しく説かれ続けているのを見て、そうした誤りと迷信で固められた組織を存続させた責任の一端が自分たちにもあることを認識して悲しみにうなだれ、重苦しい思いに沈みます。」(P.41)

 生きていた時に間違った教えを説いていた人は、いつか必ず、その罪滅ぼしをしなければなりません。その過ちの責任をとるためには、教えを説いた相手一人一人に会って、間違いを正していかねばならないとシルバーバーチは言います。
 しかし、本人がその教えを正しいと信じていた場合は、どうなのでしょうか? シルバーバーチの言葉を見てみましょう。

「魂がそう信じていたのならその必要はありません。が、現実はそうでない人が多いのです。名誉心と思いあがり、所有欲と金銭欲が真理よりも優先している人が多いのです。(略)
 私たちが非難するのは、誤りとは知らずに一心に説いている正直な宗教家のことではありません。心の奥では真実よりも組織の延命を第一と心得ている者たち、言い換えれば今もし旧来のものを捨てたらこれから先自分の身の上がどうなるのかを心配している者たちです。(略)
 しかし、例えそうとは知らずに間違った教えを説いた場合でも、過ちは過ちとして正さなければなりません。その場合は罪滅ぼしとは言えません。魂その物が良心の咎めなしに行ったことですから、一種の貢献としての喜びさえ感じるものです」 (P.43-44)

 さらにその人の心がけ次第では、(その人の友人や、過去にその人に助けられた霊など)他の霊からの援助も有ると言います。他人に何かを与えていれば必ずそれが返ってくるという、神の摂理の天秤がここでもうまく働くわけです。そういえば、日本のことわざにも「情けは人の為ならず」というのがありますよね。(^^)

 さて、ここでシルバーバーチは、多くのスピリチュアリストにとって重要な(そして一部の心霊オタクには結構耳の痛い(^^;)警告を説きます。

「人に法を説く者が重大な責任を担っていることはお分かりでしょう。私はたびたび言っております----あなた方は知識を手にされた。しかし同時にその知識に伴う責任も担われた、と。一般の人よりも高いものを求め、さらにその人たちを導き教えんとする者は、まず自らが拠って立つ足場をしっかりと固めなくてはなりません。厳しい探求も吟味もせず、あらゆる批判に耐えうるか否かを確かめもせず、自分の説いていることが真実であるとの確信もないまま、そんなことには無頓着に型にはまった教義を説いていれば、その怠慢と無頓着さに対する代償を支払わなければなりません」(P.45-46)

 ですから、霊的な事に関わる限り、ある程度の懐疑的姿勢は必要でしょうし、他人に勧めるにしても、それなりに責任を持つ覚悟が必要になるのではないか....と、思います。そういう点で、大した根拠もなく信じ込んで「素晴らしいから!」と勧誘に回る新興宗教の人たちは、皆落第ですよね。間違いに気付いたときには確実に、勧誘した人たち全員に謝って回らねばならないでしょう。

 続いて、以上のことに関連して、宗教的信念が造る「思想的牢獄」に話が及びます。生前に、死後の世界に関する間違った概念を持っていると、その自らが造った思念体に囚われてしまうといいます。墓の下で何世紀もの間最後の審判を待っていたり、自分が死んだことを認めようとしなかったり、そういう霊は、自分でその思念体を破壊するまでそこに閉じこめられつづれます。

「みずからその事実を認めないかぎり、私たちもどうしようもないのです。自分がすでに地上の人間でないことを得心させることがいかに難しいことであるか、あなた方には想像がつかないでしょう。あるとき私は地上でクリスタデルフィアン(キリスト教系の新興宗教)だった人と会って、えんえんと議論を交わしたことがあります。彼は私を見据えてこう言うのです----“こうして生きている私がなぜ死んでいるとおっしゃるのでしょう”と。どうしても私の言うことが信じてもらえず“復活”の日まで待つと言い張るのです。そしてそこに留まっていました。」(P.47)

 そして、ただただ待ち続けるのです。時の経つことにも気付かないまま何百年も。なんともぞっとする話ですが、これも自分で蒔いた種ですから仕方がないことなのでしょう。
 もちろん自分の間違いに気付けば、その自縛状態からは簡単に抜けられることは言うまでもありません。

(初出02/26/95 Nifty-Serve FARION mes(13) )


2章に戻る目次4章「軽蔑と嘲笑の中で」に進む

心霊学研究所トップページ