心霊学研究所
Silver Birch Companion

Silver Birch Companion(11)


 

「肉眼の視野から消えると、あなた方は悲しみの涙を流されますが、私たちの世界では、また一人、物質の束縛から解放されて、言葉では言い表わせない生命のよろこびを味わい始める魂を迎えて、うれし涙を流します。」

『古代霊シルバーバーチ 不滅の真理』近藤千雄訳・ハート出版刊(P.45)

 

 付け加えて言えば、この世で新たな生命の誕生を喜んでいるとき、霊界では別れを惜しんで涙を流していることもあるのだそうです。

 死んだ者は決して宇宙から消えて無くなってしまうわけではなく、生まれてくる者も、その時に(何もないところから)生じたとは言い切れない。「ただ住処(すみか)を変えただけ」と言っても過言ではありません。そして霊界では物質という束縛から解放され、地上で発揮しきれなかった内部の霊性を発揮できるようになるとも言われています。

 とすると、『死』とは、シルバーバーチの言うとおり悲劇では無い……喜ぶべきことなのでしょうか。

 

 たとえて言うなら、死による別れは、相手が二度と会えない遠くへ移住してしまうようなものです。わずかに電話では話せるかもしれません。しかし、実際に会うことは一生出来なくなってしまう……。これはやはり、普通の人間の感覚としてみれば悲しいことではないでしょうか。ですから、あまり極端に走って、「死は悲しい事じゃない」「死は恐くない」など(霊界にいるシルバーバーチが言うならともかく)この世の人間がためらいもなく言うとしたら、やはり観念的という誹(そし)りは免れないという気もします。

 ただ、友人が消えて無くなってしまったのではなく、移住先で頑張っているのだと思えるのは、せめてもの心の慰めになるでしょう。また、あるスピリチュアリストのサークルのように、葬式の代わりに霊界帰還記念パーティを開催するという場合。それは先に述べたような観念的というのではなく、スピリチュアリストとしての矜持と、旅立つ者へのはなむけの気持ちの現れと言えるでしょう。

初出:Nifty-Serve FARION『心霊学研究所』(11/10/96)


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