「私たちが目的としているのは、魂を解放することだけではありません。見るも気の毒な状態に置かれている身体を救ってあげることも大切です。つまり私たちの仕事には三重の目的があります。すなわち精神の解放と、魂の解放と、身体の解放です。」 『古代霊シルバーバーチ 不滅の真理』近藤千雄訳・ハート出版刊(P.47) |
本来人間は霊的な存在です。本当の自分とは肉体ではなく“霊”なのですから。……しかし僕たちは、肉体を持ってこの世に生きている以上、“霊だけ”の存在ではあり得ません。 この世に生きている以上、僕たちは、霊であると同時に、肉体でもあるのです。ですから、人間の本質が“霊”であるとしても、肉体を疎かにするのは「愚か」です。それは、霊の存在を信じない人間が精神性を疎かにするのと、全く同程度のことでしかありません。 少しばかり霊的な事をかじっただけの、半端な知識を持った人間ほど、肉体的なことを疎かにしがちなようです。しかも、そんなのに限って、自分たちこそ高度な人間だと思い込んでいるからタチが悪い。甚だしい場合は、「飢餓地域で飢え死にする子供達の苦しみは、即物的でレベルの低い苦しみだ」などと思っていたりするわけです(本当にこういう事を言い切った人がいたんですよ)。当に、間違った霊的研鑽がいかに人間の精神性を歪ませるかの好例と言えるでしょう。
もっとも、現代の一般的な文明社会の人間は、肉体には過剰なほど気を使っているものの、精神性には無頓着な場合の方が多いようですが……。 初出:Nifty-Serve FARION『心霊学研究所』(11/12/96) |