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自閉症スペクトラム(広汎性発達障害・アスペルガー症候群・自閉症)に関する覚え書き(仮称)

 

自閉症スペクトル障害(広汎性発達障害・アスペルガー症候群・自閉症)は病気ではありません。
育て方などの後天的要因による「引きこもり」などの心の病ではありません。
先天的な脳の認知障害であり、この障害自体は治ることはありません。

しかし、自閉症の子供たちは、保護者や周囲の理解と対応次第で目覚しく成長します。
一人でも多くの人に、この困難な(しかし素晴らしく魅力的な)障害を知って欲しい。
そんな思いで、このサイトを作り始めました。

『光とともに…』戸部けいこ著
1巻|2巻|3巻|4巻|5巻|6巻|7巻

 

更新履歴&このサイトについて

'05.01.10(祝)
オススメの書籍を追加しました。上から二冊目の本の紹介だけ、新たに書き下ろし。それ以外は以前に書いた日記の文章の流用です。どれも素晴らしい本ばかりですので、興味をもたれた方はぜひ購入して、お読みいただきたいと思います。

'05.01.01(水)
暫定的な内容ではありますが、サイトを新規オープンしました。サイトのターゲットとしては、「ある程度の知識は持って欲しいものの詳しい本を読んだり専門的な知識まで要求するのは無理かな」という層を想定しています(^^;。具体的には、現時点では自閉症とは何の接点もない一般の人から「知り合いや子供の同級に自閉症児・者がいる」というぐらいの人まで。(それ以上の層が相手となると、今度はこちらが教えてもらう側になりますので(^_^;ゞ)

今後の予定としては、自閉症についての入門的な説明や、書籍紹介などをやりたいと思っています。

サイト作成者はハンドル名ペーパーバーチ。スピリチュアリズムのサイトを運営しています。名古屋の会社に勤務するサラリーマンデザイナー、36才。2児の父です。上の娘「くらら(仮名)」6才は広汎性発達障害。IQは100なので高機能に属します。3才の時に診断されました。下の娘「ありか(仮名)」は定型発達(要するに健常)の3才。

 

自閉症スペクトルについて(暫定版)

自閉症とは先天的な脳の障害です。

●社会性の障害……場の空気を読むことや、人の気持ちを理解すること、人と係わることが苦手
●コミュニケーションの障害……言葉の遅れ。平板な喋り。冗談や比喩が理解できない。
●想像力の障害とそれに基づく拘り行動

主に以上の三つの症状が揃っている場合に診断が出る、およそ500人に1人の障害です。その中でIQ75以上の知的障害のない自閉症を「高機能自閉症」。さらにコミュニケーション障害の少ない群を「アスペルガー症候群」と言います。(アスペでは標準より高知能である場合が多い)

以前は自閉症と言えば知的障害を併発しているものがほとんどであると考えられていましたが、現在ではむしろ高機能群の方が多いという調査結果も出ています。

これらの障害は、重度から軽度、健常まで続く連続体であり、濃度の違いがあるだけで基本的には地続きであると考えられています。「自閉症スペクトル」という考え方です。そして、自閉症の診断基準を満たさない者まで含めた自閉症スペクトル全体の総称が「広汎性発達障害」です。最新の研究によれば、この障害を持っている人間はおよそ100人に1人。外見では見分けが付かないため一般の人は気付かないのですが、多くの人が不自由を感じている、実は非常に身近な障害なのです。

 

自閉症スペクトル関連日記抜粋
メインのサイト『心霊学研究所』で公開している日記から自閉症関連の記述を抜粋しました。
登場人物(仮名) 「くらら」長女、6歳、広汎性発達障害。 「ありか」次女、3歳、定型発達(健常)。

2002年2003年前半2003年後半2004年

  

オススメの書籍
まだ急造で基本的な書籍なども網羅していませんが、徐々に追加していきます。

高機能自閉症・アスペルガー症候群 「その子らしさ」を生かす子育て
吉田友子(著)、中央法規出版(刊)、2003/07、¥1,890(税込)

主に小学校低学年ぐらいまでの自閉症スペクトラムの子どもを想定した本です。自閉症児に関わる親や保育者・先生向けの本の中で、僕が今までに読んだ中で一番良い本のうちの一つだと思います。自閉症の症状や特長の解説や、問題行動への対応方法などが最新の医学情報に基づいた正確なものであるのはもちろん、それ以上に著者の子どもへのやさしいまなざしが感じられて、読みながら温かい気持ちになってきます。

冷たい“解説書”ではないからこそ気付かされることも多く、“分かったつもりでいたけれど、本当には想像が及んでなかった”自閉症スペクトラムゆえの困難さにも気付かされ、今までの自分の子どもへの対応を少なからず反省させられました。具体的な対応策のアイディアも豊富で、実用性も高いです。ものすごくオススメ、一押しです! すべての自閉症スペクトル障害にかかわる親・教師にとって、この本を読むのは“義務”と言っても言い過ぎではないでしょう('04.05.26)

ぼくのこともっとわかって!アスペルガー症候群〜小・中学校の事例と医師からの解説
白川緑・堀川いづみ・本田二郎(著)、全国養護教諭サークル協議会(企画)、農山漁村文化協会(刊)、2003/08、¥1,400(税込)

アスペルガー症候群の子供の学校生活の実例。

第一章は中学校に勤務する養護教諭による、一人のアスペルガー症候群の少年の三年間。保健室にやってきて「頭がメチャメチャ」と言って泣き出した一年生の真君は、精神科の受診でアスペルガー症候群であることが判明します。ノートをとる途中で「黒板に書いてあることを写し終われないと思ったら」パニックになって今まで書いてあった部分まで全部消してしまった、という話が出ているんですが、これは似たようなことを家の娘もやるので生々しく実感しました。

紆余曲折を経つつも教師陣の理解と適切な対応のお陰で徐々に落ち着いていきます。担任だけではなく学年の他の教師も主治医と面談しているのは素晴らしいです。教師が理解し、適切な対応をすれば、それは自然に子供たちにも伝わっていきます。目立ったイジメがなかったのはそのお陰でしょう。多くの人達と共に成長し、高校にも進学。自分に自身が持てるようになったことで苦手だった教科も克服し(テストで満点を取っている)学年トップの成績になっているそうです。

二章の著者は小学校の養護教諭で、こちらもアスペルガー症候群の隆君の六年間の記録です。四年生までは教師の対応も良く、クラスでも他の児童が助け合ってくれて、本人にも他の児童にも幸福な環境が出来ていたようです。が、五年時の担任の対応がまずかったために(自分の思い込みで枠にはめ、強制するタイプの教師だったようです)あっと言う間に状態が悪くなり、クラスでも浮き上がってしまいます。そしてある日、担任の不用意な対応でパニックを起こした隆君がハサミを振り回す事件が起きてしまいます。

それでも学校側の対応さえしっかりしていれば良かったんでしょうが、何の方針も立てずに懇談会が開かれ、一体どういう進行をすればそんなことになるのか、大多数の父兄から両親がつるし上げられ、排除され(この場合、学校で起ったことでもあり、すべての責任は教師にあると思うんですが……。頬被りしていたんでしょうね)、隆君は不登校に。学校への不信感から妹は別の学校に入学することに。そのため隆君たちは引っ越しを余儀なくされます。

隆君の障害の特性をどうしても理解出来なかった担任教師が(一人の責任ではないにしろ)すべてを台無しにしてしまった訳ですが、著者は、アスペルガー症候群の子供をどれだけ理解しようとするのかということに、私たち自身の感性が厳しく問われると言っています。また、障害特性を理解する“学び”が、その感性を裏付けるのだ、と。全く同感ですし、この事例は残念な経過になってしまっていますが、失敗事例だからこそ、障害を理解し子供と向き合う感性の大切さを、より強く訴えてくるようにも感じられます。家の娘も今年小学校入学ですし、身につまされる思いで読みました。

第三章は、隆君の主治医である児童精神科医による自閉症スペクトルの解説と支援方法。簡潔でありながら要点を押さえて書かれており、二章の隆君の事例も紹介されているので理解しやすいのではないでしょうか。特に教師として自閉症スペクトルの子供とかかわる人間には須らく理解しておくべきことがかかれています。いや、むしろ教師ならこの程度は知っておくのは義務でしょう! 学校の先生、また学校の先生と子供への対応方法を話し合う必要がある親にも、強くオススメします。('05.01.10)

変光星―自閉の少女に見えていた世界
森口奈緒美(著)、花風社(刊)、2004/01、¥1,890(税込)

日本の高機能自閉症者の手記です。今までにもいくつか自閉症の人の自伝は読んだことがありますが、どれも海外のものでした。この本は日本の、しかも僕よりちょっとだけ上の世代のかたなので、書かれている状況などもよく分かりますし、そのぶん身につまされるというか、自分にも身に覚えのあることがあったり、なるほどそういうふうに感じているのかと気付かされたり、学ぶところの多い本でした。

著者の中学生時代までの回顧ですが、ほんとうに波乱万丈な内容です。ひどい虐めが継続的に、しかも生徒からだけではなく教師からも差別され続けており、どこに相談しても理解されず、助けてもらえず(当時は自閉症に対する理解も遅れていましたから)、その暗さ、過酷さ、救いのなさに、読み終えて暗い気持ちになること必定です(-_-;。が、それでも失われない著者のユーモアが読後感にわずかな救いをもたらしてくれます。文章も面白く“自閉症の少女の世界”に引き込まれます。

1996年に日本で初めて出版された日本人高機能自閉症者の手記。長らく絶版になっていた名著の待望の復刊。オススメです。

平行線―ある自閉症者の青年期の回想
森口奈緒美(著)、ブレーン出版(刊)、2002/02、¥2,940(税込)

名著『変光星』の続編。

周囲の誰からも理解されず、専門家であるはずの精神科医からさえも適切な対応を得られず(当時は高機能自閉症が知られていなかったため「自閉症ではない」と言われた)、やがて自殺を図るに至るプロセスには、僕の自殺した友人もそうであったのではないかと、胸が詰まりました。今は天真爛漫で愛らしい「くらら」も、場合によっては辿ってしまうかも知れない人生……絶対にこんなふうにさせてはいけないと思います。

僕がここでクドクドと内容を説明したり、お薦めするまでもなく、前作『変光星』を読んだかたなら必ず読まれる(読まずにはいられない)ことと思います。その期待が裏切られることはないはずです。('04.05.17)

地球生まれの異星人―自閉者として、日本に生きる
泉流星(著)、花風社(刊)、2003/11、¥1,680(税込)

『変光星』『平行線』と高機能自閉症の日本人の自伝を続けて読んで、どちらも良かったので、amazon.co.jpで別の人の自伝を買って読みました。

著者の泉さんは『変光星』の森口さんと比べれば軽度の自閉症のようで、親御さんの対応や先生に恵まれたこともあり、自らを異星人のように感じつつも、普通に友人を持って過ごすことの出来た時期もあったようです。が、特に社会に出てからは、やはり自閉症ならではの対人関係の障害やストレスによって混乱し、摂食障害やアルコール依存に陥り、自殺未遂までしています。自閉症の障害がそれほど重くなくてもこうなってしまうというのは、ショッキングなことではありますが、重要な教訓だと思います。

しかしショッキングなだけで終わるわけではなく、30歳を過ぎてから初めて自閉症という診断を受け、それを契機に、自閉症者である自分の特性を理解して新たな生き方を模索しつつある現状には、大きな希望が見える思いがします。やはり自分を理解すること(正しい診断を受けること)は何事によらず大切なことなのだな、と再確認させられました。

これも、とても良い本だと思います。オススメです。('04.05.20)

 

自閉症リンク
とりあえずメインのサイトのリンク集のコピーですが、徐々に拡充する予定。

あたらしい自閉症の手引き (03.02.19)
http://www.nucl.nagoya-u.ac.jp/~taco/aut-soc/rainman/
自閉症についてのQ&Aなど。どんな障害なのか、どのように関わればよいのか、年齢別の対処法など。就学や就労について。父親の視点から書かれた「ダダ父通信」がお薦めです。
君が教えてくれたこと (04.04.03)
http://www.tbs.co.jp/kimioshi/index-j.html
高機能自閉症(知的障害の無い自閉症)のヒロインを描いて2000年4月から放映された感動的なドラマ『君が教えてくれたこと』の公式ページ。放映終了から4年も経つのにサイトを残してくれているなんて素晴らしいです。 
自閉連邦在地球領事館附属図書館 (03.02.19)
http://homepage3.nifty.com/unifedaut/
ご自身もアスペルガー症候群と診断された翻訳家のニキ・リンコさんのサイト。自閉症スペクトルを、文化の違う異星(自閉連邦)からやってきて地球の生活に適応できない人々である、というユニークな視点で説明しています。
 
じゃじゃ丸トンネル迷路 (04.04.06)
http://www.iegt.org/
海外の研究家の自閉症に関する論文を、良いものも悪いものも含めて翻訳紹介しています。最新のトピックについても「一次資料」に近いものに当たることが出来るので、とても有り難いサイトです。
 
てっちゃん通信 (04.04.06)
http://ww3.tiki.ne.jp/~teppey/
自閉症児のお父さんのサイトです。父親の立場から、どのように子供の障害に向き合って行くべきか、同じ父親として参考にさせていただいています。膨大な数の本が紹介されている『お薦め本コーナー』は圧巻。問題書籍をしっかり批判してくれているのも好感度高し(^^)。
 
社団法人日本自閉症協会 (03.02.19)
http://www.autism.or.jp/
日本自閉症協会の公式サイト。協会の活動や相談の案内。自閉症についての基礎的な知識など。
 
日本自閉症協会 京都府支部 (04.04.06)
http://web.kyoto-inet.or.jp/org/atoz3/ask/
日本自閉症協会の京都支部の公式ページ。京都府支部主催の講演会の記録は読み応えがあります。TEACCHプログラムに関する情報も豊富です。
 
発達協会(社団法人 精神発達障害指導教育協会) (03.02.19)
http://www.hattatsu.or.jp/
「発達にハンディキャップをもつ人たちの、さまざまな形での自立を促すことを目的として」設立された発達協会の公式サイト。子育て相談・ケーススタディ、医療相談、専門分野別指導法、協会の案内など、充実してます。
光とともに…〜自閉症児を抱えて〜 (04.04.03)
http://www.ntv.co.jp/hikari/
自閉症の子供を描いた素晴らしいコミック『光とともに…』を原案に、2004年4月より放映されたドラマの公式ページ。

 

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