心霊学研究所
『欧米心霊旅行記』浅野和三郎著
('02.08.27登録)
第十一信 ボストンにおける心霊実験(4)
秤操作現象
秤《はかり》操作現象というのは、心霊の力で秤を自由に動かす現象で、むろんその間、霊媒の手足は、立会人によって厳重に拘束されています。手帳から抜粋します。 「十八日午後九時十五分、実験室において、赤燈の下にて、秤の実験を行なう。秤は薬品などを量る普通のもので、試験の結果、左右よく平均していることを確かめた。備えつけの重り四個の中から、自分が三個を取って右側の皿に乗せると、もちろん右側の皿が下降して台に付着した。これは赤燈の下で行なっているので、その実況は、立会人一同によって明らかに認められた。その間、入神状態のマージャリーは、左手は浅野、右手はロジャース博士に握られて、イスにもたれており、秤とは約3フィート(約90cm)の距離にあった。 間もなく直接談話で、ウォルターから、右側の皿を上昇させるとの注意があった。一同注視していると、果たして重りを乗せたままで、右側の皿は上昇を始め、左右の皿が全く平均した。その状態に止まること約一分の後、今度は更に右側の皿が上昇をつづけ、左側の皿が三十度ぐらいの角度で下方に降りた。肉眼では、左側の皿には何も乗っていないようだったが、後でフラッシュで写真を撮ったのを見ると、左側の皿の上には、白色のダンゴのようなものが乗せてあった。ウォルターの説明によれば、こうした心霊現象は不思議でも何でもなく、エクトプラズム製の重りを乗せて、左側の皿を下降させたに過ぎないとの事であった」 この実験は単にこれだけのもので、霊媒ならびに立会人と全然別の独立的存在が、いかなる方法で、いかなる働きを発揮し得るかを、純粋に科学的に証明したに過ぎません。前にも言ったとおり、これは極度に厳重な監督下に行われた実験ですから、今さら詐術説の入り込む余地などないことは、言うまでもありません。 |