心霊学研究所
『欧米心霊旅行記』浅野和三郎著
('03.01.08登録)

第十一信 ボストンにおける心霊実験(8)
結論


 

 今回私のボストンにおける実験は、決してマージャリーに起こるところの、あらゆる心霊現象を網羅しているわけではありませんが、しかしこれでも、アメリカが有するこの優れた霊媒の実力の一端をうかがうには十分でしょう。日本国が物質的な方向にのみ血まなこになって騒いでいるうちに、こんな現象が次々とかの地に起こりつつあるとは、実に驚くべきことです。八十年前にわが国民は、浦賀に入ったアメリカ船に長夜の夢を破られましたが、今度もまたその轍を踏むことになるかもしれません。早く皆様に報告すべく、私は大急ぎで筆を執りましたが、船が揺れるので思ったことの十分の一をも尽くせません。不備の点は、また近いうちに筆を改めて補うことにいたします。(十二月十九日天洋丸にて)

 

以上にかかげた第十一信までが、私の旅行中の執筆にかかります。次回からは旅行中の手帳をたよりに日本国内で筆を執るのですから、そろそろ印象が不鮮明で、自分でも困っています。こうしてまずアメリカを片づけ、それからずっと後へ逆戻りして、イギリス方面の残りを書くことにしましょう。(四、一、三)

 


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